カニコーセンとカニ歩き

kaniaruki0617_1カニコーセン
播州汚泥フォークの雄、カニコーセン。
播州汚泥フォーク界に身を置くミュージシャンはおそらくこの方だけ。
全国1人中1位。立派な雄です。

ブログも大人気。愚痴や妬みや自爆ゴシップをここまで楽しく読ませるのも、播州でおそらくこの方だけ。

そんなカニコーセンさん、来たる7/19(土)に「CINEMA STREET FES」の一環でsalon i’maでライブを開催します。今回はその宣伝活動も兼ねつつ、神戸駅~西元町を行ったり来たりカニ歩きしながらお話を伺いました。

IMG_2529(神戸駅で待ち合わせ)

カニコーセン 今日はどんな感じでしょう? 奥崎謙三みたいにカメラの前ではサービス精神発揮したほうがええですか?

― いえ、ふつうで構いません。

カニコーセン そですか、そんならちょっとずつ雰囲気つかんでいきますわ
元町高架下

まずは、カニコーセンさんが普段から懇意にしている西元町高架下の『花隈ソファーズ』へ。

IMG_2527(カニコーセンのCDも絶賛販売中)

居合わせたお客さんに「ミュージシャンの方です。今日は取材なんです」と紹介すると、みなさん興味津々。

IMG_2528(お客さんから両切りピースをもらいご満悦。ご自身の手巻きたばこと比較)

取材とか慣れへんわ、という雰囲気のカニさんですが、まずは曲づくりをはじめたころのお話を。

カニコーセン 東京で学生やってた頃も音楽やっとりました。師匠と呼ばしてもらってる方もいまして。学校出てからは大阪とかにも住んでたんですが、ちゃんと曲つくり出したんは地元に帰ってきてからです。あの辺の住んどったら、気ぃ抜いたらパチンコ行ってまうから、宅録をね。

ワシもともとものすごいパチンコ中毒でね。ガイアグループ・ミクちゃんにたくさん吸い取られてね。地元の友だちで、いい学校行った生徒会長でも「スロがなあ」とか言うとって。地方にはそうゆう引力みたいなものがあるんですわ。それから抜けんとあかんなーって。そんで曲つくりだしたんですわ。パチンコよりお金かからんしね。

 

そんなことを話しながら花隈ソファーズで居合わせたお客さんとのトークも弾み、うっかり取材という目的を忘れそうになったので河岸を変えることに。

IMG_2531(マスターに7月19日のライブのチラシを手渡す。ごちそうさまでした!)

ふたたび神戸駅方面へ。

居酒屋『珠のれん』に移動し、引き続きお話を伺います。

kanikoosen profile p(取材に慣れ、ノってきたカニコーセンさん)

― もともと、どんな音楽が好きだったんですか?

カニコーセン 昔はベックとかグランジをよく聴いててね。暗いのをエンタテインメントしてるのがええなと。負けていく感じがええなと。それが美的やなと。

― 曲をつくり出してからもそれは変わらずですか?

カニコーセン 自分がやるってなったら、負けていく美ってのはちょっと現実離れしてるというか。わし35歳で住宅ローン組んでもうたしね。とはいえ自分にはもっとすごい何かがあるって夢想するのもちゃうし。

 

年齢だけで言えば中堅の域に入るカニコーセンさんですが、意外にも曲づくりを本格的に始めたのは、バンドメンバーでもある伴侶を得てからでした。

 

カニコーセン 嫁さんが時々曲つくってたけど才能ないなーと。わしがやったほうがうまくできるわと。そんでつくり出したんです。マックのガレージバンドの使い方に慣れたらババーっと曲ができてね。今はあんまりできへんけど。アハハ。

そんで、曲ができたらサウンドクラウドにぽつぽつアップしてたんです。はじめは再生回数もほんとに微々たるもんで。まあこんなおっさんの歌だれも聴かへんかと。

でも泊(とまり)の山田参助さんがツイッターでこれええと言うてくれはって、そしたら再生回数がどんどん増えていって。ちょっと見ん間にどんどん増えてる。言うたら確変、フィーバーですわ。あかん、わしまたパチンコの話してる。

 

青少年期に初期騒動からギターをかき鳴らし、フェイドアウトしていった人は多いと思いますが、カニコーセンさんは少し違うよう。中年期を迎え、ギターを小脇に抱えて一本道を、全力でよそ見しながら歩いてらっしゃる印象です。まさにカニ歩き。逃げているようで挑んでいるようで、諦めているようでひたむきなようなカニワールドは、そこから生まれているのかも。

 

カニコーセン 泣きそうなってきた。わしカウンセリング受けてるみたいで泣きそうになってきましたわ。

 

カニさんが平静でいるうちに、これまでリリースした作品について伺います。

まずは処女作『Family Affair』(2012年)。CD-R2枚組、全33曲の大作です。

family affaireカニコーセン 両足の指と指の隙間に35年かけて溜まりに溜まった真っ黒な垢を、右足・左足を各A・B版に別けて刷り込んだ香しい2枚組アルバムです。効き過ぎたエコーに頭痛した人たちが起した公害訴訟はラジオ関西にも取り上げられました。500円です。

 

その翌年リリースされた意欲作が、13曲収録の2ndアルバム『Everyday People』(2013年)。

Everday Peopleカニコーセン 売れると思ってなかった1stアルバムが予想外に売れ、もっと売れるものをつくろう!をスローガンにカフェやヘアーサロンでもBGMとして流せるようなつくりを目指しました。収録曲『名前を呼ぶだけで』は長渕剛『激愛』へのアンサーソングです。500円です。

 

ここで、カニコーセンさんが常々、街のアーティストたちとのセッションやディベートに励んでいる神戸駅前アート広場へ。

kanikoosen

 

― カニコーセンさんにi’maでライブをしていただくのは今回で4回目になります。ところで稲荷市場の印象は?

カニコーセン トタンの寂びた風景が好きで、大阪の中津商店街の脇に5年ほど住んでたのですが、稲荷商店街を見たときも、WAO!て思いました。中津商店街は死んでしまってる店が多かったけど、稲荷市場周辺は見た目寂れてるけど中畑さんはじめ、まだまだ繁盛してるお店もあって、バランス取れてるなあと。

尾道とか観光地的な寂れた商店街に行くと、行政やらの手が加わって、作り物のレトロ感が出てしまって興ざめすることが多いです。必要性のない駄菓子やラムネが並んでたり、掲示板にアドビソフトでつくられた落語会開催のA4サイズのお知らせがラミネートされて貼られてたりするアノ感じです。

稲荷市場はそうゆう要らんことをしてない感じが勇ましく思います。i’maさんがよいのは何年もあそこに住み続けてるところで、ほかのとこから来て「要らんこと」して結果が出なかったらすぐに去って行く、賃貸的街おこしのノリがないのが信頼の証やと思いますね。

 

カニコーセンさんがそう語るi’maでのライブは、7月19日(土)19時より。多彩なゲストにも注目です!

 

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はじめていらっしゃる方必読、salon i’maへのアクセスはこちらから。

 


カニコーセン – kanikoosen

播州汚泥フォークミュージシャン。
今後のライブの予定はこちらから http://kanikoosen.exblog.jp/19713003/
sound cloud でも一部試聴可 https://soundcloud.com/kanikoosen

 


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